サトウ卵パック

女であることが嫌になったのは、保健体育を受けてからだ。それまでは、男の子と一緒に遊んでいる方が楽だし、男の子と一緒にいるからチヤホヤされていたし、女の子っていいなぁと子供心に思っていた。だって、女の子には男の子がチョコとかくれるし。女の子に優しくしない男の子は怒られるし。女の子、サイコー。ってね。でも、女子校に入って、保健体育の授業で、女の子には生理というものが月一くらいでくること、それは将来赤ちゃんを産むための準備だということを聞いた。教科書大人諸々の意見によれば、「女の子は将来的に子どもを産むのだから」体を冷やしちゃいけない。「女の子は将来的に子どもを産むのだから」月一回1週間血まみれになる。「女の子は将来的に子どもを産むのだから」様々なことはしていけないのだ。でも、嬉しいでしょ?だってそれは将来の赤ちゃんのための準備。だって、「女の子は将来的に子どもを産めるのだから」。特典付きだって。

いや、いやいやいやいや。おかしいでしょ。論理がおかしい。今生きてる私が我慢するのは、将来生まれてくるかもしれない赤ちゃんのためなの?産みたくないとか言ってるわけじゃなくて、私はこのおなかの中にある卵のために生きるのか。いやいや、私、卵パックかよ。

さすがにいまは受け入れざるをえないこととして「女の子は将来的子どもを産むのだから」論理にそこまで動揺しなくなったけど、男子が「将来的に子供を作るのだから」禁止されてることを見たことがない事実は未だに腑に落ちない。男子も「将来的に子どもを作るのだから」あそこを冷やしなさいって言われたり、「将来的に子どもを作るのだから」絶対に週に何回かは1人で致さなきゃいけないって言われたり、そういう論理に巻き込まれればいいのにな。

最近会ったある企業の人に「産休とか育休とか、実際言っちゃ悪いけど企業にとってなかなか迷惑なものよ」って聞かされて思い出した哀しみでした。勝手に女が産むわけじゃないからね、勝手に子どもが出てくるわけじゃないからね。ズル休みじゃないからね。産まないで済むんだったら産んでもらいたいけど、それがダメらしいから女は産むんだよ。ある企業の人、そこまで言うんだったら絶対に家庭を築かないで、子どもは作らないんだよね?迷惑かけさせないでね。